車のフロントガラスは前方視界を確保するという重要なパーツで、視界が妨げられると安全確認が不十分になるので非常に危険です。
ワイパーで拭き取った後に残るスジも視界不良の原因ですが、なぜスジが生じるのでしょうか。その原因や対処法、事前にできる予防策などを詳しく解説します。
車のガラスにワイパーの筋がつく原因とは
ワイパーにはウインドウガラスについた水滴を拭き取るという役割があり、スジがつくのは十分な拭き取りができていない証拠といえます。
具体的な原因は、ワイパー側だけでなくウインドウにある場合もあるので、実際の例をご紹介します。
・ワイパーゴムの劣化
ガラスにスジが残るワイパー側の原因としては、湾曲したガラスへ均等にゴムが当たらないというものがあります。
「ワイパーは水を拭き取る」という表現が一般的ですが、厳密には水膜を均等に張ることで視界をクリアにします。
ワイパーが正常に動作していれば水膜は均等に広がりますが、拭きムラがあると均等な水膜にならず、水膜のムラがスジ状に見えて視界を妨げます。
・ガラスについた油膜
大気中には砂埃や鉄粉など様々な粒子が舞っていますが、工場近くの粒子には油脂成分が含まれることもあります。それがガラスに付着して油膜となり、視界を妨げます。また車に施工したワックスの油脂がウインドウに流れ落ちることもあり、これも油膜の原因となります。
ガラスに油膜がつくと水滴をうまく拭き取ることができず、ワイパーを動かしてもスジ状の拭きムラが残ります。
スプレータイプの油膜とりで一時しのぎはできるものの、根本から油膜がとれるわけではないので再度油膜が発生します。
・フロントガラスについてキズがスジの原因となる場合も
先に述べたワイパーや油膜が原因のスジは、降雨時などガラスが濡れているときのみ発生しますが、乾いているときに見えるスジの正体はガラスについたキズです。
ウインドウガラスは十分な硬度がありますが、ゴムに砂がついたままワイパーを動かすとキズの原因となります。またゴムが劣化したままワイパーを使用し続けるとゴム部分がなくなり、ワイパーブレードの金具部分がガラスに接触してキズをつける場合もあるのです。
物理的にキズがついてしまったガラスは研磨か交換しか対処法がなく、素人では手に負えなくなるので十分注意しましょう。
車のワイパーで筋がついてしまった際の対処法
ワイパーでスジがついてしまった場合、ワイパーそのものや油膜によるスジであればユーザー自身の対応が可能です。
最初に考えたいのはワイパーゴムの交換ですが、ワイパー自体が劣化しているとガラスに押しつける力が弱っている場合もあります。その場合はゴムの交換だけでは不十分なため、ワイパーごと交換する必要が生じます。
ゴムの交換は年1回が目安といわれており、2回に1回はワイパー本体の交換をすればワイパー本来の性能を発揮できるでしょう。ゴムの交換時期がわからなくなったときは、ワイパーゴムではなくブレードもまるごと交換することをおすすめします。
ギラギラした油膜が目立つ場合は、ガラスについた油膜を除去しましょう。カー用品店には様々な油膜落としが販売されていますが、製品によって効果が異なるため、よくわからない場合はスタッフに遠慮なく質問しましょう。油膜落としの効果が不十分な場合は、ガラス用コンパウンドでガラスを研磨するという方法もあります。
フロントガラスにコーティング加工をしている車では、コーティングが劣化して油膜となっている場合もあります。その場合はコーティングをいったん剥離するため、専用のクリーナーやコンパウンドを使ってみるのもおすすめです。
一方ガラス自体のキズでスジが入っている場合、素人による対応は極めて困難です。ディーラーや整備工場に相談し、対応策を考えてもらいましょう。
フロントガラスのスジを予防するには
フロントガラスにつくスジはワイパーや油膜・キズなどが原因のため、これらの対策をしっかりとることで予防することができます。
最も手軽にできるのは、油膜とり成分が含まれたウォッシャー液を使うというものです。ワイパーを作動させる都度油膜とり成分が行き渡るため、こびりつく前に油膜を落とすことが可能です。
フロントガラスに撥水系や親水系のコーティングを施すというのもひとつの対策ですが、事前に十分な油膜とりをしておかないとかえってスジやギラつきの原因になります。
フロントガラスにキズをつけないためには、乾いた状態でワイパーを作動させないというのも重要なポイントです。小雨で少ししかついていない水分を拭き取る際は、ワイパーの作動速度にも気をつけましょう。
こまめな洗車は、フロントガラスだけでなく車のあらゆる箇所を保護する、ボディメンテナンスの基本中の基本です。洗車でフロントガラスの砂埃や油脂成分をきれいに洗い流し、その際ワイパーゴムも軽く水洗いすればより効果的です。
まとめ
車のフロントガラスにスジがつくと視界を妨げ非常に危険なので、ついてから対応するよりも事前の対策が重要となります。
中でもコーティングはおすすめの方法で、ボディコーティングなら油脂成分がガラスに流れることもなく、ガラスへのコーティングは油脂の付着を防ぐことも可能です。
しかしコーティングの効果を高めるためにはあらかじめ油膜を十分に落とす必要があり、DIYでは対応が不十分なこともあります。
洗車の専門店なら、油膜落としの洗車から予防策のコーティングまで、車の状態や予算に応じた対応をしてもらえます。ガラスのスジに困っている人も予防したい人も、専門業者に連絡を入れてみてはいかがでしょうか。