サイドシルやドアなど、車の下部にはピッチ・タールと呼ばれる汚れが付きやすいと言われています。ピッチ・タールの名前は聞いたことがあるが、どのようなものかを知らない人は意外に多いのではないでしょうか。
この記事ではピッチ・タールについて、成分や付着する原因、除去法などを詳しく解説します。
ピッチ・タールとは?その性質は?
ピッチ・タールはアスファルトの舗装成分が車に跳ね返ったもののことをいい、厳密には固体に近いピッチと液体のタールに区分されます。いずれも車両の下部に付着しやすく、ホワイト系のボディでは黒やこげ茶色のブツブツとして見た目が悪くなります。
ピッチ・タールは鉄粉と色が似ており、小さなものは大きめの鉄粉と見分けがつきにくいです。しかし成分は全く異なり、ピッチ・タールは原油から作られるアスファルトのため油性の汚れ成分です。
ボディ表面に食い込む鉄粉と違い、ピッチ・タールはサイドシルなどにベタッとくっついています。固いガムがこびりつくようという表現をすれば、イメージしやすいかもしれません。
多くの場合は硬化した汚れとなっているためシャンプー洗車による除去は困難ですが、成分を溶かせば簡単に取り除くことができます。しかし爪などで無理にそぎ落とそうとすると、成分が伸びて余計に目立ってしまいます。
ピッチ・タールが付着する原因
ピッチ・タールは舗装のアスファルト成分が付着したものですが、冷えて固まった状態の舗装からは付着しにくいです。
しかし夏の暑い時期は直射日光によって路面が熱くなり、路面のアスファルトが溶けることがあります。その上を走行すると溶けたアスファルトが跳ね、車の下部に付着しやすくなるのです。
また舗装したての路面は十分に冷えておらず、アスファルトがまだ固まっていない状態です。そのような路面を走行すると、暑い時期よりも多くのピッチ・タールが付着するおそれがあります。
いずれも溶けたアスファルトが付着するという理屈なので、気温の高い日イコール路面温度の高い日はピッチ・タールに注意したいところです。
ピッチ・タールの除去法は
先に触れたように、ピッチ・タールの汚れは表面にくっついた状態です。そのため成分を分解すれば容易に除去できるので、イオンデポジットやウォータースポットといったボディの汚れよりは楽に落とせるでしょう。
最も確実なのは、専用のクリーナーを使う方法です。クリーナーでピッチ・タールを溶かすことで、簡単に取り除くことが可能になります。拭き取る際にキズが付かないよう、丁寧に作業しましょう。
クリーナーが準備できない場合は、効果は不十分ながら鉄粉取り用の粘土を使ってもよいでしょう。手元に有機溶剤があれば、それでピッチ・タールを溶かすという方法もあります。
潤滑剤や灯油などもピッチ・タールに有効と言われていますが、プラスチックやゴム成分に悪影響を及ぼします。車内への水浸入を防ぐウェザーストリップはゴム製で、ドア内装にはプラスチックパーツが使用されています。誤ってこれらのパーツにこぼす可能性があることを考えると、潤滑剤等の使用は避けた方がよいでしょう。
一点気を付けたいのは、しばらく放置してから除去すると、希にシミが残ることもあるという点です。シミが付くと研磨しても十分きれいにならないことがあるので、特に淡色系の車では早めの処理を心がけましょう。
ピッチ・タールの汚れを予防するには
アスファルト舗装された公道を走行する以上、ピッチ・タールの汚れを完全に防ぐことは不可能です。そのためボディの下部をこまめにチェックし、汚れを見つけたらなるべく早く取り除くというのが、現実的な対策と言えるかもしれません。
可能であれば、洗車をする際細かい汚れを除去することを考えてもよいでしょう。アスファルト舗装された公道を走る以上、全く付着しないということはあり得ません。一見して確認しづらいくらいに細かな汚れかもしれませんが、洗車の都度下部のクリーニングもしておくというのは、多少なりともわざわざチェックする手間を省けるでしょう。
まとめ
ピッチ・タールは路面のアスファルトが融け出したものが車の下部に付くもので、油性の汚れ成分として黒い粒状の汚れを発生させます。専用のクリーナーを使えば簡単に汚れを除去できるものの、対処が遅れたり淡色系の車だったり、シミ状に汚れが残ってしまう場合もあります。
これを防ぐためにはほかの汚れ対策と同様、コーティングで保護するという方法を考えてもよいでしょう。また十分な効果を発揮させるための下地処理で、シミになった汚れが取れることも期待できます。
ピッチ・タール対策は、汚れの除去や予防策のコーティングも含め、洗車の専門店に依頼してはいかがでしょうか。質の高い処理はもちろん、ボディの状態に最適なアドバイスをしてもらえるでしょう。