ガラスコーティングは車のボディを保護する手段として、ワックスよりも一般的な存在になってきました。その効果は広く知られているところですが、一部のオーナーは「ガラスコーティングをしない方がよい」と考えているのも事実です。
この記事ではガラスコーティングの目的やしない場合の変化を紹介しながら、ガラスコーティングの有用性を解説します。
ガラスコーティングをする目的
コーティングの目的は、コーティング剤が作る被膜によりボディ表面を保護するというものです。塗装面にある見えないほど小さな凹凸を平滑化するため、汚れがついても定着しにくくなります。また表面が平らになることで、ボディに光沢感が出ます。
コーティングには、汚れが付着しても洗車で簡単に落とせるという効果もあります。塗装面を酸化から守り、色あせや塗装の剥離を防止するためにも欠かせません。
コーティングの素材には樹脂系やチタン系など様々なものが用いられていますが、比較的多く採用されているのがガラスコーティングです。ガラスコーティングは熱や紫外線への耐性が強く、効果が長期間持続するという特徴があります。
費用対効果にも優れているため、コーティングの中では現時点におけるファーストチョイスといってもよいでしょう。
ガラスコーティングをしないと車はどうなる?
ガラスコーティングを施工すると、日頃のボディメンテナンスがとても楽になります。しかし施工しっぱなしというわけにはいかず、洗車をはじめ日常簡単な手入れは必須です。
ガラスコーティングは、従来のワックスより圧倒的に寿命が延びました。それでも数年程度、長くても5年経てば効果がなくなってしまいます。業者に施工してもらう場合は、費用も安くて数万円、車種やコーティングの種類によってはその10倍かかることもあります。
そのため車の外観に無頓着な人は、コーティング車のメンテナンスを怠ったり、場合によってはコーティングそのものを施工しなかったりということもあるのではないでしょうか。
だからといってガラスコーティングをしないと、ボディ表面が直接外気にさらされ、紫外線や酸性雨、黄砂、花粉などの影響を受けやすくなります。これらの汚れを落とさないと劣化が進み、色褪せやクリア層の剥離が生じることにもなりかねません。洗車をこまめにする場合でも、コーティングしていない車は洗車キズやシミのリスクが高まります。
乗りつぶさず将来的な売却処分を検討する人は、コーティングの有無が査定額に影響するということも忘れてはいけません。見た目はもちろんのこと、塗装が傷んだ車では買取額アップが期待できません。
これらの点を総合的に判断すると、よほどの理由がない限りガラスコーティングはしておいた方がよい、と考えるのが自然なのかもしれません。
ガラスコーティングでよく誤解されること
ガラスコーティングは、硬いガラスによる被膜がボディを保護します。そのため汚れやキズがつかない、という誤った理解をする人がいるかもしれません。
たしかに塗装面の上をコーティングが覆うので、汚れやキズは付きにくくなります。しかし砂をはじめとした細かい粒子にはガラスより硬いものもあり、コーティング車であってもボディを傷付けることがあります。また塩分や鉄粉、花粉などの成分は、コーティングを侵食してボディに浸透し、長期的にはボディを傷めます。
「ガラスコーティングは劣化しない」というのも、誤った理解です。塗装面よりは耐久性があるものの、大気に含まれる様々な物質が雨水とともに付着し、太陽光を浴びて熱を帯びることで被膜は少しずつ傷んでいきます。劣化が進むことで、コーティング効果の低下が早まることにもなります。
コーティング車でも適度な洗車は必須で、表面の汚れが浸透する前に洗い流すとともに、コーティング層の保護機能を保つ必要があると言えるでしょう。
業者にコーティングを頼んだ場合、容器に入ったメンテナンス剤を渡されるのが一般的です。半年から1年に1回は、しっかり汚れを洗い流した後にメンテナンス剤を施工し、コーティングの機能を復活させるようにしましょう。
極端に効果が落ちたときや前回施工から一定の期間が経過したら、再度のコーティングも検討しましょう。重ね塗りできるコーティングもありますが、基本的にはコーティング被膜を剥がして下地処理を行い、改めてコーティング加工をすることになります。
素人がDIYでやろうとすると、剥離や下地処理で失敗する可能性があり、下地のムラは施工ムラに直結します。コーティングの劣化具合も判断しづらいため、できれば前回施工を頼んだ専門店に相談することをおすすめします。
まとめ
ガラスコーティングに対する誤った理解ゆえ、コーティングはしない方がよいと考える人もいるのではないでしょうか。艶や光沢といった見た目だけでなく、ボディ保護という大きな役割を担うガラスコーティングは、するに越したことはありません。
しかしガラスコーティングも万能ではありません。定期的なチェックやメンテナンスは欠かせません。また施工から数年経つと、コーティングの効果も徐々になくなってきます。
自分でチェックすることもできますが、効果が残っているのに再コーティングするのは、時間や費用の無駄になります。コーティングの専門業者であれば、状態に最適な処理をしてくれるので、コーティングの効果が落ちたと感じたときは専門店に相談することをおすすめします。
専門店なら、コーティングの補修で済む場合や再施工が望ましい場合などを的確に判断してくれるのはもちろん、再コーティングをする場合も質の高いサポートが期待できるでしょう。