車と切り離せないことの一つである洗車ですが、「シリコン洗車」というのをご存知でしょうか。
この記事では、シリコン洗車のメリット・デメリットやシリコン洗車とコーティングの違いなどとともに「シリコン洗車」について解説します。
シリコン洗車とは
「シリコン洗車」とは、洗車後の拭き上げの際に、シリコンをシリコンオイルやシリコンスプレーという形でワックスのように塗布する洗車方法のことです。
シリコンの層を作るとより効果あるので、こまめに行う必要があります。
ツヤのある綺麗な仕上がりになるうえ、安価でお手軽なため人気があるようです。
シリコン洗車のメリット
シリコン洗車に使用するシリコンスプレー等はホームセンターなどで購入でき、安価で施工も簡単で塗りムラなどになりにくいので、手軽に行えます。
効果としては、撥水効果が高くなるほか、洗車キズやスクラッチ傷などの細かな傷が目立ちにくくなり、綺麗なツヤが蘇るなどがあげられます。
また、プラスチックやゴムパーツにシリコンを塗布すると、少しですが硬化防止などの効果が得られるので、パーツの保護にもなり、白化が抑えられて黒いツヤが出るようになります。
基本的にはガラスやメッキ、プラスチックなど車のボディ全体に使用できます。
シリコン洗車のデメリット
シリコン洗車の主なデメリットは、油であることから汚れが付着しやすいことや拭き取りを丁寧に十分に行わないと、ムラが発生しやすいことなどがあげられます。
これらは塗装されている車のボディに悪影響を及ぼすので要注意です。
この点はこのあと詳しく説明するので参考にしてください。
また、ガラスにシリコン洗車を施したばかりで馴染んでいない状態だと、視界が悪くなるといったこともあるので、シリコン洗車の直後の走行前にはガラス面の視界を確認するようにしましょう。
車のボディにシリコン洗車は不向き
前述のように、シリコンオイルを塗布するシリコン洗車は、塗装面に対してはあまり良くない点があります。
撥水効果や綺麗なツヤが出るというメリットもあるものの、デメリットのほうが多いといえるでしょう。
汚れやすく効果の耐久性が低い
シリコンオイルは油分なので、車のボディ上に粘着力がある油膜ができ、空気中のを埃や花粉などの汚れが付着しやすくなります。
薄く塗布するように工夫しても、この点はあまり変わりません。
どんなにキレイに仕上げても短時間で汚れてしまうことが多いのです。
その結果、ツヤは持続しにくく、撥水効果もすぐに薄れてしまいます。
また、これらの汚れにシリコンの油膜が浸透すると、油膜内側へと取り込んでしまいます。
油汚れの場合が特に厄介です。
汚れた油が染み込んでいくように、どんどん内側へと広がってしまうのです。
さらにシリコンの塗布後、しばらく経つと油膜自体も車のボディにとっては汚れになってしまいます。
これらの汚れは、洗車時に洗剤を使用して落とさなければなりません。
シリコンの油膜だけなら水でほとんど洗い流すことができます。
が、汚れ方や洗い方によっては油膜内に溜まったゴミ等で、車のボディにキズを付けたり、汚れを引き伸ばしたりする結果になってしまうこともあるので、注意が必要です。
塗布中にキズを付ける可能性
シリコンを塗布した後は、乾拭きで余った油分を拭き取ります。
シリコンを塗布してから乾拭きまでの間に砂塵などの汚れが付着してしまう可能性があります。
汚れが付着したまま乾拭きすると車のボディにキズを付けてしまいます。
砂塵などが付着したら、シリコンを洗い流してから塗布し直す必要があるので、同じことを何度も繰り返すことになってしまうかもしれません。
摩擦などへの耐性がない
シリコンの油膜はとても柔らかいので、摩擦や衝撃に対する耐性はありません。
摩擦や飛び石などによる細かなキズを防ぎたいなら、硬化するタイプのコーティング施工がおすすめです。
板金塗装やコーティングを断られる可能性
何度もシリコン洗車をした車のボディの板金塗装は、断られる可能性があります。
油分が染み込んだボディはパテや塗料がのりにくくなるため、作業が難しくなるといわれています。
シリコンオイルを何度も塗布すると細かなキズに油分が浸透して油分が洗い落としにくくなっていることが多いのです。
また、コーティングも断られる可能性があります。
車のボディとコーティング剤の間にシリコン洗車でできた油膜があると、コーティングによる硬い膜が、うまく形成されないことがあるからです。
多少の油膜であれば、施工前に行う車のボディの下地処理で取れますが、その段階で取りきれないほどの油膜ができていると、お手上げとなってしまいます。
コーティングとシリコン洗車の違い
硬化するタイプのコーティングとシリコン洗車との大きな違いは、車のボディ上に形成される膜の強度です。
コーティングの場合
硬化するコーティングは車のボディ表面に硬い膜を形成します。
常にコーティングで保護された状態となるため、摩擦によるキズや付着した汚れはコーティングの表面で留まり、洗車時にもコーティングで保護されているので、地のボディにキズが付きにくくなります。
コーティングを何度も施工すると、硬い膜がさらに厚くなり保護性が高まっていくというメリットもあります。
シリコン洗車の場合
シリコン洗車でできる油膜の場合、前述したように摩擦によるキズは防げず、付着した汚れは油膜内部へと取り込まれることになります。
洗車時は油膜をキレイに落とさなければならず、洗車の度に地のボディが現れることになり洗車によるキズが直接付きやすくなります。
そして、その度シリコンを地のボディへ塗布することになり、さらに車のボディにキズを付ける可能性が高くなってしまうのです。
シリコン洗車は手軽におこなえて良いのですが、長期的なことを考慮するとコーティング施工をしたほうが車のボディにとっては良いことが多いのです。
どうするのが良いか迷った際は、プロのコーティング業者などに相談・依頼するのがおすすめです。