春の訪れを告げるのは黄砂や花粉など、日常生活においては厄介な存在ばかり、車も含めあらゆるものに付着します。中でも黄砂は、他の季節に舞う砂ボコリよりも車への影響が大きいです。
また黄砂が付いた車は洗車機にかけてはいけないとも言われていますが、それはどうしてでしょうか。この記事では、その理由や黄砂とはどんなものかなどを改めて解説します。
黄砂とは何かをおさらいしよう
黄砂は中国大陸の乾燥地域にある砂塵が春の偏西風に乗って飛来する現象のことをいい、飛散する砂自体も黄砂と呼ばれています。黄砂の季節になると、建物や屋外の洗濯物などに加え、車のボディにも黄砂が付着します。
日本に飛来する黄砂の粒子は、4㎛ほどの大きさと言われています。数字だけではピンと来ないかもしれませんが、タバコの煙の粒子より大きく、血液の赤血球よりも小さいくらいのサイズです。また髪の毛と比較すると、およそ20分の1の太さということです。
黄砂には石英や長石・雲母や石膏など様々な物質が含まれていますが、硬くて角張っているという点が共通しています。また日本の表土と比較すると、カルシウムの含有率が高いといわれています。
黄砂が車に及ぼす影響は
先に触れたように、黄砂は付着することで建物や屋外の洗濯物を汚します。もちろん車に及ぼす影響も大きく、黄砂によりボディが汚れるだけでなく、キズだらけにすることもあります。
黄砂には硬くて粒子の大きな鉱物が含まれており、車についたまま放置するとヤスリのようにボディをこすることになります。
また黄砂は雨水などの水分により、粘土のようにボディへこびりつくこともあります。黄砂がボディに付いたままでは、よりキズが付きやすくなってしまいます。
そのため車に黄砂が付いたら、こびりつかないうちになるべく早く洗車できれいにしましょう。
車に付いた黄砂は洗車機で洗わないように注意
車に黄砂が付いたらできるだけ早く洗車をしたいところですが、ガソリンスタンドなどに置いてあるゲート型の洗車機(以下「洗車機」)は使わないよう注意してください。
洗車機は車の上を移動しながら、水流をかけるとともにブラシで汚れを落とします。黄砂が付いたままブラシでこすると、車にヤスリをかけるのと同じ状況になります。
洗車キズが付かないよう、ブラシの素材は柔らかくて汚れを落としやすいものが使用されています。しかし先に触れたように、黄砂の成分や粒子の大きさは一般的な砂ボコリの比ではありません。
ゲートをくぐる方式の洗車機は黄砂を落とすのに向いていない、ということは頭に入れておきましょう。
自分で洗車するときも注意しよう
黄砂を洗い流す方法としては、自分で洗車する場合とプロに任せる場合の2つがあります。
自分で洗車する場合はホースからの水道水を使っても構いませんが、コイン洗車場にある洗車ガンの高圧水流であればキズを付けずに勢いよく黄砂を洗い流せます。家に高圧洗浄機がある場合は、そちらを使ってもよいでしょう。
洗車の基本は、たっぷりの水を惜しげなく使い、砂ボコリや汚れをきれいに洗い流すことです。黄砂は洗車キズが付きやすいため、普段より慎重にかつ時間をかけて洗い落とすことを心がけましょう。
水洗いで黄砂を落としたら、シャンプー水を含ませたスポンジで残った汚れを落とします。洗車時も黄砂が舞っている可能性があるので、スポンジをつぶさず表面を滑らせるよう意識することが重要です。
このときボディやウインドウガラスに加え、ガラスの汚れを拭き取るワイパーにも黄砂が付着しています。そのままワイパーを使用すると、フロントガラスにキズがついてしまうため、ワイパーもきれいにしておきましょう。
もちろん洗車の最後は、水分が残らないようにしっかり拭き取ることを忘れてはいけません。
黄砂によるキズを予防するにはコーティング
車は屋外で使用するため、黄砂を完全に防ぐのは不可能です。しかしこまめに洗車することに加え、ボディを保護するためのコーティングをしておけば、黄砂の影響を最小限に抑えることができるでしょう。
一方でコーティングの効果を確保するためには、しっかりとした下地処理が欠かせません。特に砂ボコリなどの粒子は磨きキズの原因となるため、黄砂の季節はより慎重に処理しなければなりません。
日光や風などの影響を受けない屋内でコーティングできれば言うことなしなのですが、環境が整っているのはごく一部の人に限られます。
これらを考えると、黄砂の季節に敢えてDIYでコーティングをかけるメリットはあまりありません。かといって冬の作業環境は過酷で、前年の秋にコーティングしておくのは不安に思う人もいるでしょう。黄砂対策の視点でコーティングをするのであれば、専門店に依頼するのが無難かもしれません。
車にキズを付ける原因となる春の黄砂ですが、それゆえに洗うときは慎重に対応する必要があります。素人が洗車するのはリスクが高いため、この時期の洗車はプロに依頼することをおすすめします。
専門店はキズを付けずに黄砂を洗い流すスキルやノウハウが豊富なだけでなく、黄砂によるキズを防ぐコーティングの技術も高いという特徴があります。